2009/06/20

エレクトレットコンデンサマイク工作
Panasonic WM-61A 改造なし

パソコンで手軽に録音するためにマイクを作ってみた。パソコンに内蔵されているマイクで録音すると、ノイズ(パソコン内部の機械的な音)があまりにひどかったので、マイク端子に外部マイクをつければ多少は改善されるのではないだろうかと思ったのがきっかけ。

パソコンのマイク端子


パソコンはThinkPad X61を普段は使っているので、そのマイク端子を調べてみると、ステレオジャックになっていた。ステレオ録音ができるわけないと思ってテスタで測ってみると、真ん中から2.8Vの電源が供給されていた。なるほどプラグイン仕様というわけだ。直接マイク入力にエレクトレットコンデンサマイクのカプセルを接続すれば、すぐに使えるというわけだ。本来エレクトレットコンデンサマイクは外部電源が必要なのだがプラグインなら電源を供給できるので、マイク本体が簡素にできる。しかし、こういうことがノートパソコンの仕様に明記されていないというのはどうことだろうか? ちなみにThinkPadT42の場合は供給電圧が4.66Vとバラバラじゃないか・・・・


Panasonic WM-61Aを秋月電子で購入

http://akizukidenshi.com/
マイクカプセルはパナソニックのWM-61Aという、その世界では有名なカプセルらしい。2個200円なので製品としてのマイクよりは断然お手軽。



周波数特性は、ほぼフラット。コンデンサーマイクは小型のものは振動版が各周波数に敏感でフラットな傾向にある。 プロの録音では大口径ダイアフラムのマイクを使う場合が多い。特にボーカル用は1インチ近く大きめ。それは必ずしもフラットな特性を求めているわけではないことを意味する。 フラットを求めているのは測定用マイクぐらいだろうか。こちらは非常に小口径ダイアフラム。



エレクトレット方式とは

コンデンサーマイクは、DCバイアス方式とエレクトレット方式に大別される。

DCバイアスは数十ボルトの電圧を必要とする昔からのもので音質は優れているとされる。録音スタジオ等で使う高価なものが多い。

エレクトレット方式はエレクトレット(電石)という物質の半永久帯電現象を利用することでコンデンサーマイクとして機能する。 Wikiによると、エレクトレット物質は1919年に江口元太郎氏が発見したとある。 マイク内臓回路はFET(アンプ)だけと、DCバイアス方式に比べ簡便になっている。 外部からプラグインパワー方式等で、数ボルトを供給する理由はFET駆動用であり、ダイアフラムに必要なわけではない。 ダイアフラムはプラスチックフィルムにアルミを蒸着しているものが多いと思う。 エレクトレット方式は、小型、安価で電圧的にも扱いやすく、携帯電話等の電子機器に内蔵され普及した。


手持ちの不要なエレクトレットコンデンサーマイク(ECM)を分解してみる

訳あってダイアフラム側からスライスして分解。分解前の写真を撮り忘れたので写真はスライス後から。 本来は、この上にカバーがあり、小さい穴が空いている。またその上に不織布が貼られていた。見た目はWM61Aと変わらない。

次にダイアフラムを外す。ダイアフラムはプラスチックフィルムにアルミ蒸着だと思われる。かなり薄い幕で、向こう側が透けて見える。これが音によって振動することで、静電容量が変化し、電気信号になっていく。

完全に取外した状態。緑のリングは絶縁体。ダイアフラムと、その下のエレクトレットの隙間はこの絶縁体の厚さ分しかない。

中身をバラしてみる。右からダイアフラムで、一番上の部品、そして、緑のリングは絶縁体。右から2番目の4つの穴が開いたものが主役のエレクトレット素材。その次がエレクトレットを後ろから支えるカバー。これには中央の穴があり、不織布のようなものが張られている。どうも指向性マイクのようだ。バックからの音を小さな穴を通して、ダイアフラムに伝えるようになっている。そして最後にケース。この中にはFETが1個だけある。ケース内側には絶縁のためのプラスチックハウジングがある。

ケースの中身。FETが固定してある。

ケース裏。

エレクトレット、ダイアフラム拡大。

ダイアフラムが透明であることが確認できる。

エレクトレット。ただの金属プレートに見えるが、積層してある。

横から見ると積層状態がわかる。


WM-61Aの工作 端子のはんだ付け

直径6mm高さ3.4mmとエレクトレットコンデンサマイクの中でも小さめのほうだ。どうもマニアの間では、これを改造して使うようだけど、今回はノートパソコンに直接挿して使うので改造なしで、仕様書の通り接続することにした。

配線は下の写真のようにカプセルに単線をはんだ付けし、その単線にケーブルを接続。カプセルは熱に弱いので、はんだ付けは一回にしておきたい。こうすることで実験したり、交換したり、後々いろんなことをするときに、カプセルを熱で痛めてしまうリスクを回避している。

配線はステレオプラグで言うと、先端(本来左チャンネル・白)と、真ん中(右チャンネル・赤)をマイクのOutputへ。残り(グラウンド・黒)をマイクのGroundへ接続しただけ。

本来エレクトレットコンデンサマイクは、外部電源を使うので、仕様書に従うと抵抗とコンデンサが必要なのだが、ノートパソコンのプラグインパワーの仕様は不明。回路なしで実験してみても問題なかったので、今回は回路はなし。おそらくPC内部に回路があるのだろう。市販されているヘッドセットなどもおそらく何の回路も入ってなさそうだ。


完成したマイクが下写真。真鍮の丸棒をくりぬいてマイクをセットした。大きさは長さ40mm、直径10mmというところ。真鍮丸棒にした理由は、この手の小さいものだと、セッティングがフラフラして、じれったいことが多いので、それなりに安定する重さにしたかったこと、丸棒の形は写真のようにクリップしやすいので、セッティングが容易であること。またボディはシールドの役目も果たしている。



録音サンプル

この手のものは、録音したサンプルがないと話にならないので、とりあえず録音してみました。へたくそなギターですが。

比較の為に、まずはノートパソコンX61内蔵マイク(モノラル)での録音。入力の音量レベルが低かったので、マイクをコントロールパネルでブーストしています。

パソコンのファンなどのノイズがすごくて工場の中で弾いているみたい。ギター練習用録音はこれでいいやと思っていたけど、やはり耐えられない。

次に今回作ったWM61-Aノーマルマイク。

パソコンの物理的なノイズからは開放されて、わりと素直に録音されている。ノートパソコンX61側ではマイクをブーストしていない。ブーストしなくてもそれなりに録音できてしまうほど高感度。モノラルではあるが、ギター練習用には十分すぎるクオリティ。

ThinkPadX61のマイク端子の音質について

使っているノートパソコンはThinkPad X61なので、サウンドボードはオンボードで、High Definition Audio(HD Audio)が使われていると思われる。ちゃんとした資料がないので推測ですが。スペックは、こんなかんじで意外と立派です。

192KHz/32bitまでのデータストリームに対応
96KHz/32bitでの8チャンネルサラウンドに対応
15ストリームまでの並行処理に対応
アレイマイクによる複数チャンネルでの同時入力に対応
48Mbit/s帯域の専用バスでアナログコーデックと論理コントローラをリンク

ドライバは、SoundMax Integrated Digital HD Audio というもの。マイク入力からの仕組みは不明だが、96kHz、32bitで取り込むことも可能なような雰囲気。ノイズはびっくりするほど少ない。私の場合、オンボードのサウンドカードで十分と思えた。