2009/08/29

天体望遠鏡 スコープテック SD-80AL

天体望遠鏡 スコープテック SD-80AL 購入価格39,800円
スコープタウン.JP http://scopetown.jp/
子供のころから天体望遠鏡が欲しかったのだが、その機会は失われ、ようやく今になって小学生の子供のために望遠鏡を購入してみた。
自宅は名古屋に近いとこなので、空は街の明かりを受けて、うっすら明るい。肉眼では明るい星が少々確認できる程度。ということで星を自宅で観るということは考えてもいなかったのが、先日双眼鏡を購入して夜空を見たら、肉眼では見えない星がはっきりと見えることが判明。さらに雲のない夜中では、天の川らしき星の雲まで確認できた。ちょっと面白くなり、天体望遠鏡の購入の動機になった。

望遠鏡選び
いまどきはネットで調査して、そのまま購入というパターンが多い。このスコープテックSD-80ALもこのパターン。天体望遠鏡の善し悪しなど分からないので、入門機としてはどんなものが適当なのか調べてみる。

天体望遠鏡には大きく分けて屈折式と反射式、両者を合わせた反射屈折式があって、初心者にはメンテなどを考えると屈折式が手軽だということなので、迷わず屈折式にする。あとは望遠鏡の基本性能は対物レンズの口径で決まるということ。口径が大きいほうが性能はアップするが、重く大きくなり、そして高価になる。子供が扱える重さにしたいということと、価格も数万円程度を考えているので、その範囲で調べていくと、50~80mmぐらいの望遠鏡がよさそうだ。月の観望であれば50mmでも観れるらしいが、惑星となると、やはり大きい方が鮮明に見える。となると80mmしかない。100mmぐらいだとさらによいのだけど、やっぱり価格が大きく変わってしまう。

絞り込んだ望遠鏡はビクセン ポルタII A80Mf(41,580円) と スコープテック SD-80AL(39,800円)。共に80mm口径で、入門機としては、そこそこ満足行くレベルのものらしい。架台はビクセンが魅力的だったが、鏡筒(望遠鏡本体)についてはスコープテックの方がよさそうだ。重さはビクセンが9kgオーバーで、スコープテックが6.7kg 持ち運びを考えるとスコープテックの方が気楽だ。SD-80ALの上位機種ポルタII  STL80A-L (62,120円)という架台がビクセンのポルタという魅力的な機種があったが、価格が2万円以上アップということと、重量がやはり9kgということで断念。

ビクセンは大手の光学機器メーカーであり、スコープテックは(株)スターライト・コーポレーションという小さな販売店。普通に考えるとビクセンのものを買ったほうが安心だろうけど、スターライト・コーポレーションは良質な望遠鏡を安価に提供しようとがんばっているようなので、そういうところを応援する意味でもスコープテック SD-80ALに決めた。製造メーカーは大一光学(株)で、対物レンズ(アクロマート )は(株)久保田光学で作られいる純国産。ビクセンのポルタII A80Mfは中国製。ものづくりにかかわる人間としても単純に国産は応援したいところ。

納品 サイズについて
クリックから納品までは早かった。2日だったかな。ホームページ上では望遠鏡のサイズが焦点距離ぐらいしか書かれていなかったので、実際のサイズはイメージしにくかった。届いたら、あれれ、予想以上に大きかった。
望遠鏡の長さ アイピースなしで最短990mm、アイピース装着&ピント調整などで1100mm程度まで伸びる。
三脚は2段階で、最大高さが1300mmとなり、この上に鏡筒が乗っかる。足の正三角形の1辺は約1200mm。
三脚を1段の高さにすると、850mmとなる。足の正三角形の1辺は約660mm。
余裕で置けると思っていたベランダでも、最大にすると、なかなか辛い。普段は三脚を中間ぐらいにして使っているが、観る星や天頂ミラーの有無でその都度変えている。

内容:
鏡筒 
接眼レンズ 3本 6mm 10mm 25mm
ファインダー 6x
架台
星空ガイドブック(定価:1000円)
天体観測図鑑(定価:1800円)
星座早見盤

鏡筒(望遠鏡本体)は焦点距離が1000mmで、無理のない設計らしい。最近は光学技術が上がったためかコンパクトにしたものが多いようだが、昔はもっと長いものが定番だったらしい。焦点距離が短いと各種収差の問題が出てくるので、設計が大変だが、無理がない設計は素直に性能が引き出されるので好感が持てる。対物レンズは(株)久保田光学製の高精度アクロマートとある。対物レンズはグレードによっていくつか呼び方があるようだ。これは顕微鏡と共通しているような気がする。主なグレードとして以下のようなものがある。
プラン アポクロマート 最高級 色収差が可視光全域補正。視野周辺まで像面湾曲を含む諸収差を補正
プラン アクロマート 高級 視野中心部から周辺にかけて像面湾曲を含む諸収差を補正。赤、青に対しての色収差を補正
アクロマート 安価 視野中心の光学性能を重視し、実用的に諸収差を補正した対物レンズ。赤、青に対しての色収差が取り除かれている
SD-80ALは、高精度アクロマートとあるので、ちゃんと作られたアクロマートだろう。視野中心部なら十分シャープに見えるはず。色のにじみが少ないEDレンズを使用した最高級アポクロマート望遠鏡は同じ80mm口径でも鏡筒だけで9万円近くする。

とりあえず、わけもわからず星を観る
納品時は月が見えなくなっていたので、木星を中心に観望。まず望遠鏡がどうのという以前に、天候にめちゃくちゃ左右される。シンチレーションというのだろうか、大気がゆらゆらというかんじで、なかなかはっきり木星が見えない。また薄い雲が出ると、一気に暗くなってしまう。シンチレーションが少なくなり、木星が高い位置に来ると、空の暗さもあって、ばっちり観えはじめた。なかなか感動的なお姿。写真で木星は知っているものの、生で観る木星は別のものがある。アイピースは付属の6mmを使って167倍で観望すると、縞模様の確認だけではなく、もっと細かな部分まで観察ができた。10mmの100倍だと、縞は確認できるけど、それ以上は辛いと感じる。縞だけなら25mmの40倍でも確認できる。意外と低倍率でも細かな部分まで見えるものだと感心した。その後、月やアンドロメダ星雲などを観望しているが、天候条件がイマイチなので、お休みも多い。

付属アイピース(接眼レンズ)
付属していたアイピースは6mm、10mm、25mmの3つ。まずはこれらを使い倒そうと思うが、アイピースって、いかにもコレクションしたくなるアイテムで危険な匂いがする。

双眼鏡には倍率などがはっきりと明記されているが、天体望遠鏡はアイピースを自分で入れ替えられるので、自分で計算する必要がある。他の機器ではこういうことはあまりないので、なかなか面白い。F値やら倍率、射出瞳径やらをアイピースの交換によって自分で決められるので。天体望遠鏡をちゃんと勉強すれば、光学の基礎が身につくなぁ。子供にやらせてみようか。

アイピースの名前はレンズの発明者がつけた名前が、メーカーは違っても、そのまま使われているものが多い。付属のオルソやケルソーも昔の設計のまま。オルソ(PL)は、シモン・プローセル(オーストリア?)が1860年にルーペ用に開発、つまり149年前。ケルソーは、カール・ケルナー(ドイツ)が1849年に顕微鏡用として開発したものとあるから、今から160年前になる。そんな大昔のものが、未だに作られているというのはたまげる。まさに古典的アイピースだ。

Or.6mm (オルソスコピック/PLタイプ)
全面モノコート
167倍(月面、惑星強拡大用)
倍率 = 対物レンズ焦点距離÷アイピース焦点距離
日本製
2,980円 (単品価格)
付属アイピースの中で、木星の表面を観察するならこの焦点距離しかない。これ以上長い(倍率低い)10mmだと、木星の縞までしか確認できない。また焦点距離の短い倍率の高いレンズを使うと、望遠鏡の倍率の限界を超えてしまうため、暗く、ぼけた像になるので、使い物にならない。SD-80ALの最高倍率は6mm程度だろう。このOr.6mmの欠点は疲れること。全視野を入れるには、かなり目を近づけないと見えない。まつげも邪魔。レンズは、まつげで汚れやすい。何かとアイレリーフの短さがネックになっているようだ。また眼の水晶体、角膜、硝子体などの一部 (透明な血管のようなものや気泡のようなもの) が対象物と重なって見えてしまう飛蚊現象(ひぶんげんしょう)が気になる。飛蚊現象を軽減するには射出瞳径を0,7mm以上にする必要があるようだ。SD-80ALにアイピース6mmで計算すると射出瞳径が0.48mmになるので、限界というか、不快な状態のようだ。射出瞳径を0.7にするには9mm(倍率は111倍)のアイピースになってしまい、惑星観望にはちょっと低倍率な気がする。なんとか飛蚊現象を軽減して150倍程度で観たいのだが。大口径望遠鏡にしないと無理な話か。

K.10mm (ケルナー)
全面モノコート
100倍(月面、惑星用)
倍率 = 対物レンズ焦点距離÷アイピース焦点距離
日本製
2,980円 (単品価格)

今のところ、月と木星ばかり観ているので、この焦点距離はあまり出番がない。月の部分や、木星の衛星全体を観察するときに使用している。 飛蚊現象は射出瞳径が0.8mmなので、気にならない。でもないことはない。目立たないだけ。

K.25mm (ケルナー)
全面モノコート
40倍(月面 星雲星団用)
倍率 = 対物レンズ焦点距離÷アイピース焦点距離
日本製
2,980円 (単品価格)

この焦点距離は月全体を観れるので使いやすい。アイレリーフの長さや明るさも使い勝手がよい。小学校低学年の子供が唯一ちゃんと観望できるアイピース。飛蚊現象は全く気にならない。

アイピースで有名なテレビューのサイトに書いてあったけど、射出瞳径が 0.5、1、2、4、6mm の5種類のアイピースがあれば、ほとんどの観測対象をカバーできるそうだ。射出瞳径の計算は以下の通り。

射出瞳径 = 口径 × 接眼レンズの焦点距離 ÷ 対物レンズの焦点距離

これに付属アイピースを当てはめて見ると、以下のようになる。

オルソ6mm の場合 80 x 6 / 1000 = 0.48
ケルナー10mm の場合 80 x 10 / 1000 = 0.8
ケルナー25mm の場合 80 x 25 / 1000 = 2

より広角側の射出瞳径4、6mmはないが、理想的な射出瞳径のアイピースが付属していることになる。(株)スターライト・コーポレーションの的確さが出ているように思う。より高倍率のアイピースは、たとえば焦点距離5mmの場合は、射出瞳径が4mmとなり、暗くなるのが想像できる。また最高倍率は対物レンズの口径でも計算できる。

最高倍率 = 口径 ×2 (2.5)

SD-80ALは、口径が80mmなので、160倍が最高倍率。ちょっと無理して200倍まで。
アイピースは無理すれば5mmで倍率は200倍まで使えなくもないようだが、ギリギリというかんじが否めない。高性能なアイピースでも、おそらく不快な像になってしまうと思う。6mmでも結構不快なので。

覗くのって大変
上記アイピースで、子供がストレスなく見れるのは、25mmだけ。他は覗くのが難しいようだ。確かに眼球をギリギリまで近づけて、頭、眼球とも揺らさないように安定して覗かなくてはならないので、フラフラしていては、よく見えるはずがない。また高倍率にすると、飛蚊現象が起きて、水晶体、角膜、硝子体あたりが、対象物と重なって見えてしまう。眼球のどの部分が見えているかは不明だが、何層かになっているのが確認できる。見えるものは透明な血管のようなものとか、泡のような点等などが少々。ちなみに水晶体等への酸素や栄養は赤い血ではなく、透明なので、それを実感できるのだが・・。これが木星の縞の詳細などを観察しようとすると邪魔で仕方ない。また月など明るい対象を見るとそれなりに目立つ。でもあまり細かな部分を観察しないなら、それほど問題ないことも付け加えておく。ちなみに顕微鏡でも高倍率だと同じ現象が起きる。まったく同じ射出瞳径の問題だ。

他にも望遠鏡と目との位置関係のバランスが崩れるたびにフレアやゴーストなどが発生して観察の邪魔をする。完全に頭を固定して、望遠鏡と目の光軸を一体化できれば、もう少しキレイに見えるはずだが、修行が足りない。比較的明るいベランダで観ているのも問題かもしれない。周りの街灯や車のヘッドライトが目に入ると、しばらく暗さに慣れるまでよく見えない。まずは手製アイカップやらを作るなど、ストレスなく観る方法を考えるべきかもしれない。

そういえば、寝ながら双眼鏡で星を観ると、劇的にクリアに見える。頭を固定してしまえば、見え方も数段アップするはずだな。頭を固定できる椅子にでも座って観ようかな。もしくは寝ながら観るか。


意外と星の移動って早い
100倍以上の高倍率で観ていると、あっという間に視野から星が外れてしまう。地球が自転しているからなのだが、こんなに速いとは、望遠鏡を覗くまでは知らなかったよ。10数秒で視野から外れるので、微動装置で追いかけなくてはならない。左右、上下の微動装置を両方動かす。これを10秒ごとに繰り返し、数時間とかやっていると、結構疲れます。動かしている間は、望遠鏡が揺れるので、ちゃんと見えない。揺れが落ち着いてから観るということで、意外とじっくり観れないのだな。赤道儀というのは、これを楽にしてくれるありがたいものだということが分かった。さらに自動で追いかけられれば、観ることに集中できるし、長時間露出の写真もOKとなる。
ピントあわせが難しい
低倍率は、ピントをあわせやすいが、高倍率だとなかなか厄介だ。ピントあわせ中は望遠鏡が多少揺れるので、ピントが合っているかどうか正確には判断できない。あと、調整ノブがちょっとぎこちなかったりするのも原因かも。木星の場合、ピントが合っているかどうかを輪郭や縞で判断しているけど、シンチレーションがあると、それも分からない。ピントが合っているのか、シンチレーションでぼけているのか・・・ 動かして試行錯誤するしかない。これも意外と疲れる。ただ、一度合ってしまえば、あとは調整しないので微動作業のようなストレスはない。
風の影響
風の影響を受けやすい。ちょっとした風が吹いても僅かに揺れたりするので、それだけでも星が見えなくなる。かなりデリケート。三脚が悪いという印象はない。重ければ風には強くなるだろうけど、運搬を考えると、この重量以上はちょっと大変そう。


天頂ミラー(ダイアゴナル)
光学的には理想的ではない邪魔パーツだが、楽な姿勢で望遠鏡を覗くのに必須ともいえるパーツ。付属していたものはベークライト製で、いつの時代のパーツだ?という感じ。実は買い替えを検討しているパーツでもある。高倍率で観ていると、どうも天頂ミラーの影響で、いかにも鏡に映っているという印象がしてしまう。アルミ蒸着だろうから、反射率は80%程度だろう。どこか薄ぼんやりした印象を受ける。
やってはいけない光学機器の分解をしてみる。直接ルーペで鏡面を観察すると、細かな傷が無数と、ブロアで飛ばない埃のようなものが無数。鏡の固定はテープ止めと、ウレタンで押さえているだけだった。このウレタン、すぐに劣化して、細かなカスとなって、レンズやらミラーに付着するなど、あちこちで悪さしそうだ。内部はベークライトのテカテカがそのままなので、つや消し処理すれば、ひょっとしたら改善するかもしれない。とりあえす光軸合わせはしたくないので、構造だけのチェックに留める。
天頂ミラーがないとクリアかつ、コントラストも良好なので、このパーツの悪影響は大きそうだ。理想的には天頂ミラーなしで観るのがよいのだが、長時間だとやっぱり疲れる。人間の首は水平よりも下を見る方が楽に出来ているので、上の方を見続けると辛くなる。そもそも天頂ミラーで見た像は、鏡像であり、裏像とも言われる像であり、不自然なもの。下に分かりやすく絵にしてみた。

正立像
通常人が見ている像で一番自然なもの。カメラや、双眼鏡はこのように見えるように工夫されている。天体望遠鏡はシンプルな光学系が多く、正立像にあまりこだわりはないようだ。正立像のプリズムがいくつか売られているが、よさそうなものは2万円を超えるので、手が出ないな。素人的には、正立像で天体も見たいのだが。

倒立像
180度回転した像。屈折式望遠鏡に接眼レンズを装着して見える像。天体写真の多くはこのままの像で印刷されている。素人の私としては違和感ありまくり。 光学的には一番シンプルになるので、明るく、くっきりと見える。 天体望遠鏡は光学的にピュアな感じがする。
脱線するが、目の構造も同じと考えると、網膜に逆さに映った映像を脳で修正しているようだ。しかも脳の柔軟性はすごくて、倒立像だけを見ていると、いずれ正常に見えるように脳内で修正するそうだ。すげー。

鏡像(裏像)
鏡に映したように反転する。文字はとても読めない。屈折式+天頂ミラー+接眼レンズで見た像。これはやっぱりなじめない。
よく左右反転のような表現があるが、この表現だと本質を見失いかねない。天文関係で検索すると裏像と出ているが、この日本語が正しいな。鏡像だとあいまいだし。けっして左右が逆ということではない。裏から見ているが正解。鏡の世界はよくよく考えると、ちょっと不思議。

SD-80ALのセット中で不満なパーツはこの天頂ミラーだけかな。近々天頂プリズムに買い換えようと思う。理想はKasai DXペンタプリズムという正立像が見れるものだが、23,000円もするので手が出ない。安い天頂プリズムを買って鏡像に慣れるしかないか。


はじめての天体撮影 090827
試しに明るいうちに月を撮影してみた。適当にカメラを接眼部に押し付けて撮影したのだけど、(コリメート撮影というらしい)それなりに撮れた。月の撮影なので低倍率の40倍。
天体望遠鏡:スコープテック SD-80AL、 アイピース:付属のK.25mm、 デジカメ:FUJIFILM F10 フルオート撮影

さらに暗くなってからも試しに撮影。機材は上と同じ。

月面 アイピースOr.(PLタイプ)6mm 167倍で撮影 デジカメのオートフォーカスが合わないまま撮影。肉眼ではもっとシャープに見えるのに。マニュアル撮影できないカメラで天体写真はきついと実感。月面の写真の黒い点々は、カメラ内の埃が映ったもの。 カメラだけの撮影では出ない汚れが、天体望遠鏡を通して撮影したとたんに表面化するというのは恐ろしい。これも眼球と同じ飛蚊現象。2台のカメラで試したが、同じようにレンズ内の汚れが映像化されてしまった。

木星 アイピースOr.(PLタイプ)6mm 167倍で撮影

オレンジ色の満月 090904
ここ1週間は、すぐに曇ってしまって、観望するチャンスが少ない。今日も見始めてから30分程度で曇ってしまった。月を見ていると、たまにコウモリやカラスが横切ったりする。その影は小さく、ゆったりと横切る。映画のワンシーンのようなかんじで楽しい。


天頂プリズム MC 笠井トレーディング 5,000円 090907
付属の天頂ミラーが、なんとなく不満で天頂プリズムを購入。天頂プリズムは、どこのメーカーのものでも3000~5000円程度、高級品でも1万円以下ぐらいで販売されていて、あまり大差はないようだ。このことは、どれも品質は同じぐらいで安定していることを意味する。つまり当たりはずれが少なさそうで安心して買える。とりあえず国産の安いものを候補とする。望遠鏡を買ったスコープタウンでも天頂プリズムを扱っているが、気に入らない天頂ミラーと同じ形なので、ちょっと不信感がある。国産ということも書かれていないので、多分外国製だろうということで却下。また送料もバカにならないので、その辺のことを考慮して、送料無料の笠井トレーディングで買うことにした。

笠井トレーディングには、31.7mmアメリカンサイズの天頂プリズムは2種類あって、モノコートかマルチコートかの違い。モノコートの3000円のものを買おうと思ったら、在庫が切れていて1ヶ月待ちと言われたので、在庫があるマルチコートに変更。かなり高くなるがコーティングの差は感じられるのだろうか? 透過率やフレア、ゴーストなどで有利になるのは分かるものの、モノコートでも不満はないように思われる。

メールで注文して、銀行振り込みという、最近にしては、ちょっと古典的なインターネットショッピングとなった。プリズム5000円と振り込み手数料で購入することができた。振込み後、発送しましたよメールはなく、いきなり定形外郵便でポストに入っていた。何かと手作り感のあるショップだ。こういうのは嫌いじゃない。

天頂プリズムの構造
天頂プリズムは光の全反射を利用している。全反射とは「屈折率が大きい媒質から小さい媒質に光が入るときに、入射光が境界面を透過せず、すべて反射する現象。」とあるので、理論上100%の反射となるが、光がプリズムの2面を通過するので、そこでのロスが生じる。コーティングなしのガラスであれば、1面で4% ロスするようだ。プリズムの場合2面あるので8%のロスとなる。透過率は92%となる。そこで透過率を上げるためにコーティングが必要になってくる。買ったものはマルチコートで1面0.5%程度のロスに留まっていると思われる。2面あるので透過率は99%となる。ちなみにモノコートだと2%程度のロスなので、96%の透過率となる。マルチコートとモノコートの差は3%しかなく、見て分かるほど差はなさそうだ。またゴーストやフレアもプリズム表面の反射から出てくる問題であるが、各面0.5%の反射は、ほとんど影響なさそうだ。むしろ反射率の問題よりもプリズムの中を光がとおるので、その屈折による色収差の問題が大きそうだ。望遠鏡本体の焦点距離が短いと色収差が目立ち始めるだろうけど、焦点距離1000mmと長めのSD-80ALでは問題ないようだ。

プリズムはミラーと違って、屈折率により光路が短くなるということなので、どの程度かピンとこなかったのでイメージを作ってみた。(光路の角度は適当、屈折率も適当)

黒い線がプリズムの光路で、青い線がミラーの場合。2つの線の交わったところが焦点距離とする。ミラーは単純に反射していくが、プリズムは光がプリズムに入るときと出るときに屈折するので、確かに光路が短くなるようだ。

国産ということらしいが、どこのメーカーかは不明。これを製造しているメーカーの製品は広く出回っているようだ。同じような作りのものを見かける。おそらく小さい町工場のようなメーカーなのだろうけど、もっとアピールしてもいいと思うのだが。天体望遠鏡関係の製品は国産でもOEMが多く、ノーブランド商品も多く流通しているようだ。しかも、それらが結構一流品だったりして複雑な気分だ。

付属品の天頂ミラーよりも丁寧に作られているのは明らか。でもキャップが付属していない。仕様を書いた説明書などもない。マルチコートかどうかの記載もない。まったくの無印で、箱に貼ってあるシールに 「1.25″Prism Diagonal Made In Japan 」とあるだけ。余計なコストをかけないというのは理解できるし、販売ルートごとに異なったブランドをつけるのもどうかと思うが、Made In Japanぐらいは誇らしげに本体に書いておいてもよいように思える。

プリズムのコーティングはマルチコート。光の反射が緑色に見えるので間違いないだろう。モノコートだと赤紫色っぽく見えるはず。右上写真は笠井天頂プリズムと付属の天頂ミラー。

天頂ミラーと天頂プリズムのメンテ
買い替え理由は、付属天頂ミラーの見え味と品質に疑問があったからであるが、ミラーは好きではないという理由もある。長期間使うことを考えると、表面に空気中の成分が付着して曇ってくるのは、ミラーもプリズムも避けられない事実で、メンテのしやすさや耐久性がポイントになる。ミラーはガラス面にアルミ蒸着して鏡にしているのだが、これが汚れやすく、さらに傷つきやすく、とてもデリケート。つまりクリーニングは慎重にやらないとすぐに傷つけてしまう。蒸着面の劣化もそれなりにあり、数年も経つと場合によっては染みのようなものが出来てしまうこともある。また分解後に精度よく組み上げるのも難しくなるので、何かと扱いにくいのだ。それに比べて、プリズムのコーティングは比較的丈夫なので、クリーニングは専用クリーナーや無水アルコールなどで簡単に行える。組立もケースがしっかりしていれば簡単に精度が出せるはずだ。

実際に星を観ながら付属天頂ミラーと比較してみた。
結論からすると、見え方に大きな違いはないように思えた。木星の模様を観察するときに、微妙にコントラストが違うかな? ミラーの平面性がイマイチのような気もするが、気のせいかもしれない? 程度の差だ。もう少し劇的に違うことを期待していたのだが・・・。 まだ、あまり時間をかけて比較していないので、しばらくは比較しながら違いを確認したいと思う。