カワイ ミニピアノ 改造

河合楽器のおもちゃであるミニピアノ。一時期有名になって結構売れたみたいです。電子楽器でないおもちゃで、音程がそこそこまともなため昔から評価は高いモデル。持っているものは子供用に10年以上前に購入したもので、うちにしては、珍らしくオリジナルをキープしたままの状態。鍵盤の音がガチャガチャとうるさかったので、その対策をしようと思う。また音も、少し改善したい。今回は、なるべく手軽な範囲で試みた。作業的には1時間以内というところ。

河合楽器 ミニピアノ(グランドピアノ)
鍵盤数 32鍵Fスケール
材質 天然木・MDF 鍵盤ABS樹脂
サイズ 455 x 430 x 215mm
重量 3.5kg
定価 15,540円



まずは分解

屋根を開くと妙な色のフレーム風蓋がある。

フレーム風の蓋は金色だが木製。

裏から。アルミのパンチングメタルが貼られている。

蓋を取り除くと音源であるアルミパイプがズラリ。パイプ径は10mmで肉厚は1mmかな。

パイプを取ると構造が明らかになる。鍵盤を押すと、ハンマーが持ち上げられて、パイプを打つ構造になっている。ハンマーの先端は木材で、黄色い部分は厚紙みたいな素材。

パイプも、ハンマーも取外してみた。

裏から見たところ。

パイプをウレタンスポンジで挟み込むことで、振動を妨げないように固定する構造になっている。

こちらはハンマー。10年以上経つとウレタンもボロボロ。これがなくなると鍵盤の音がうるさくなってくる。今回はここにフェルトを貼ることにした。

ハンマーを取った状態の鍵盤。ABS樹脂の鍵盤が並ぶ。

鍵盤を外すには、本物のピアノみたいに鍵盤押えがあるので、それを取る。


鍵盤を取った状態。一度もメンテしていないので、ホコリがぎっしり。10年ぐらい前に入ったと言われていた「どんぐり」を発見した・・・


ここから改造スタート

音に余韻を持たせたかったので、パイプを振動させやすくするため、上面にあった2本のウレタンを排除。下面のウレタンはそのままにしている。この辺の構造を改めれば、いろいろ音色のコントロールは可能。今回は時間もかけたくなかったので、パイプに関しては、これでおしまい。

ハンマー裏のボロボロウレタンを取り除いて、ウレタンよりも耐久性のあるフェルトを接着。32枚切って貼るのが面倒だった。

次に鍵盤を押したときにガチャガチャとうるさかったので、それを少し軽減させる対策。赤いフェルト部分に低反発ウレタンシートを貼ってみた。タッチは悪くなるが、鍵盤の音は軽減される。本当は、鍵盤ひとつひとつに細工すれば、かなり雑音をなくせるが、32個もやる元気はない。

後は鍵盤を戻して組み立て。

そこそこの精度で作られているが、ハンマーの上がり方が鍵盤によって微妙に違う。これは弾いたときに、やや問題になるなぁ。楽器として使うなら、もう少し調整する必要がある。

フレーム風の蓋は個人的には必要ないと思えたので、取外して屋根を開けるとパイプが見えるようにした。その際に突上棒を折りたたんだときにパイプに当たるので、ちょっとした細工をして、下写真のように、パイプから浮くかたちで固定できるようにしてみた。

仕掛けは単純で、3本あるネジのうち、上のネジを緩めるだけ。これで突上棒はパイプに接触しなくなる。

改造(?)後のミニピアノ。オリジナルには屋根が開ききらないように紐があるのだが、これも不要なのではずした。個人的には車のボンネットのようにガバッと開いて、中にアクセスしやすい方が便利。

録音してみました。音は明らかに余韻があって、澄んだ音になった。鍵盤の音は多少軽減。もう少し本格的に手を加えれば、結構楽器としてちゃんと使えそう。ただ、寒い部屋で弾いたので、ピッチは上がり気味。アルミは金属の中でも熱膨張が高く温度によって結構ピッチは変わりやすい。


後日タッチの改善

2014.3.1
弱く弾くと音が鳴らないときがあるので具合が悪い。そこで、かなり軽く弾いても音が確実に鳴るように調整してみた。今回は元に戻せない改造らしい改造となった。

改造内容はハンマーとパイプのクリアランスの調整。パイプ位置を下げる方向に調整できるようにしてみた。そのためには、パイプを固定している木をカットして、別の木に置き換えている。下の写真は改造後。

裏から見ると、こんな感じ。

横から見たほうが分かりやすい。ネジ穴のある木が置き換えたもの。

セッティングした状態。セッティングしてクリアランスを最適な位置に調整することで、鍵盤に触れただけで音が出るようになった。それでも鍵盤ごとに多少の差はある。さらに1音1音調整すればよいのだが、面倒なので、しばらくこの状態で使おうと思う。

録音サンプル