2014/03/11

チューナー KORG AT-12 Auto Chromatic Tuner

コルグの古いオートクロマチックチューナー。発売は1983年。定価19800円。未だに現役で問題なく使えている。当時高精度で入手可能な価格のチューナーはこれぐらいしかなかった。研究用に精度が欲しかったので無理して買ったのを思い出す。楽器メーカーでもこの機種を使って調律するぐらい信頼できるチューナー。今ならパソコンで十分だったりするのだけど。コルグは一般向けにはじめてチューナーを作ったメーカーで、今でもリーダー的な存在。チューナーを買うならコルグで間違いないと思う。

AT-12の説明書は紛失してしまったが、オフィシャルページでPDFをダウンロードできた。
http://www.korg.co.jp/Support/Manual/download.php?id=289

オート・チューナーの幕開け

今では自動で測定するオート・チューナーが普通だが、当時は音名を指定してから調律するマニュアル・チューナーが主流だった。このAT-12以降はオート・チューナーの時代になる。

針式メーター

このチューナーの良い点は精度に尽きるのだが、今時のLEDチューナーと違い、針式メーターなので、音の揺れ具合まで分かって何かと便利だったりする。さじ加減で数セント高く合わせるとかが簡単。また楽器の調律以外の用途がいろいろある場合は針式は便利。また反応スピードもそこそこ速く困ったことはない。SLOWとFASTの切替はできるようになっているので不安定な音の場合はSLOWにすると、見やすくなったりする。また暗いステージなどで使用できるようにライトを点灯させることも可能。

測定範囲と精度

32.7Hz~3951.07kHzまで測定可能。低い音はC1の32.7Hzは計測できる。これは5弦(6弦)ベースの一番低いB1の半音上の音になる。実際には倍音が結構出ているので、5弦ベース最低音も問題なくチューニングできる。高い音はピアノの高いB(3951Hz)の音まで計測可能。ということで、ほとんどの楽器の音域はカバーしているし、一部範囲外の音も測定可能なケースが多い。また、どの音域も±1セントの精度で測定できるので、楽器の調律であれば問題はないだろう。最新のチューナーの一部では精度が±0.1セントなどもあるけど、ギターなどだったら、楽器の精度の方が追いついていないので、普通は±1セントもあれば十分。

キャリブレーション

430~450Hzの間に基準Aを設定する。通常は440Hzだが、442Hz以上に設定する人たちも結構いる。このチューナーは電池を長いこと抜いておくと430Hzにリセットされてしまうので注意が必要。

基準発振音 -2 C(131Hz) ~ +1 B(988Hz)

個人的には音を鳴らして、このチューナーで測定するが、チューナーから発振音を出して、それに合わせるという使い方もできる。Aの440Hzがビーと鳴るのだが、この音は若干精度が落ちるような気がする。またボタンで半音ずつ発振音を切り替えることができる。これは結構便利かも。

基準発振音のサンプル A440Hz ~ 最高音B(988Hz) ~ 最低音C(131Hz) ~ A440Hz まで鳴らしてみた。


サイズ 192 x 37 x 100mm
重量(実測値) 340g(電池なし)


インプット、バイパス、イヤフォン、DC6Vがある。インプットにはギターなどの楽器をつなぎ、バイパスはその音をアンプなどへ送るためのもの。イヤフォンは基準発振音を聴くためのもの。使ったことないけど。

反対側には針の調整用(0 ADJボリューム)の穴がある。使用するときはゴムキャップを取外して、細めのマイナスドライバーで回す。長年使っていると針の位置が狂ったりするので、数年に1回ぐらいの頻度で調整。

最近では見かけなくなった針式メーター。音の揺れが視覚的に確認できる。音程が安定しない楽器や歌などでは重宝する。

AT-12の最も良いところは五線譜表示

歌などのスケール練習するときなど、音程を視覚的に把握しやすく便利。現行機種では、こういう仕様のものはなく、AT-12をあえて使う理由にもなっている。最新のチューナーではデジタル時計みたいな表示で、相対的に音を把握できない。チューナーは、もっとアナログ的な表示にすべきだと思う。 ちなみに各オクターブは以下のようになっている。
-3:C1~B1
-2:C2~B2
-1:C3~B3
0:C4~B4
+1:C5~B5
+2:C6~B6
+3:C7~B7

裏面には、斜めに置くときに使うスタンドがある。とっても簡易的な構造。

単3電池4本6Vで駆動できる。エネループでも問題なく動作している。他にACアダプタでも駆動できるが使ったことはない。電池蓋は完全に取外せる仕様。蓋には電池を押させるためにスポンジがあったのだが、劣化したので取り除いた。10年以上前に。電池の持ちはかなりよい。eleloopも数年入れっぱなしだが、まだ問題なく使えている。また、電源を切り忘れても、数分入力がなければ自動で電源が切れるバッテリーセーブ機能がある。

使ったことのないACアダプタ。試しに使ってみると、何かおかしい。とにかく不安定な動作。おそらくPCの横で同じ電源からなので、ノイズがACアダプタ経由で入っているようだ。昔のチューナーなので、PCノイズなんて考慮されていないのだろう。ということで電池で駆動した方が無難。



分解

分解するには、裏中央のネジをはずす。

爪は上下に4箇所と側面にもある。爪は分解時に下手をするとケースを傷つけるので、普通にねじ4本仕様にしてほしかった。古いためか、結構簡単に爪ははずれた。

リボンを固定するテープはセロテープか? 劣化してカリカリになっていたので取り除く。リボンも要らないけど。

時代を感じさせる密度。面実装でないから、何かと手を加えやすい。コンデンサー等が劣化しても簡単に交換できるのがよいが、20年以上使っていても、まだ一度も不具合はない。

基板は2枚構成になっている。絶縁用のシートがある。

2本のビスをはずすと内側の基板が取れる。

スピーカーはHokutoneと書かれているので、今はなき北斗音響製だ。made in Japan. ケースに溶着されている。

集音用のエレクトレットコンデンサマイク等がある。

メーター仕様は運搬にはちょっと気を使う。

モトローラーに作ってもらった心臓部。左の銀色の部品は大真空社(KDS)の4.000MHz Crystal Oscillatorだと思う。これが精度を握っている。


ギターのチューニングは音叉を使っている

普段のギターのチューニングでは手軽さから音叉を使っている。音叉は温度によって基準音のピッチが狂うので、冬は手で暖めてから使っている。何かと面倒であることは事実。 その点、AT-12は優秀で温度差もほとんど気にしなくてよいから便利ではあるが、実際使う使うシーンは、結構精密な要求のときだけで、オクターブチューニング、楽器の微調整、実験などでピッチを測りたいときなどに限られる。 またAT-12の測定値を完全に信用しているわけではない。PCも兼用して誤差などを補っている。今どきPCだけで高精度な測定は可能だが、作業しながらメモを取る場合は、こういうスタンドアローンなチューナーは便利である。