mechanical pencil シャープペンシル
ぺんてる .e-Tint PD115 0.5mm

0.5mmのシャープペンシルは折れやすイメージがあって長いこと使わなかったのだが、2013年に三菱鉛筆のナノダイアを入手してから少し考え方を改めた。図面関係では小さく書き込む必要があったりして、0.5mmぐらいの細い線はやっぱり重宝する。

自宅では「ぺんてる GRAPH1000」を使っているが、外出先でも0.5mmを使ってみようかと思い始める。GRAPH1000は持ち歩きたくなかったので、家にじゃらじゃらある貰い物シャープペンシルを吟味。その中では「ぺんてる .e-Tint PD115」が気に入った。サイドノック式でやや珍しいことと、芯が3.5mmまで使えるので、GRAPH1000で短くなった芯を .e-Tint に入れて使い切れる。 また、こういう貰い物ペンは紛失しても惜しくないので気楽に使えるよさもある。


主な仕様

ぺんてる .e-Tint PD115 0.5mm 105円(税込)
中国製
すでに廃番 (2010年ぐらいまで売られていたようだ)
特徴:サイドノック式
1回のノックで平均0.6mm芯が出る
メーカーいわく芯が残り3.5mmまで使える。ただし1本しか入れていない場合は15mmまで。
全長 約142mm
重量 約8.4g
グリップ部直径 約9.8mm
素材 リサイクルプラスチック AS PCほか



サイドノック

サイドノック式の利点は手のポジションをほとんど変えずにノックが行えることだろう。このペンの場合は親指で押すことになるかな。 個人的には、ノックがお尻にあっても不自由は感じないのだけど・・・

構造的には通常のノック式が素直な方向だと思うし、トラブルも少ないはず。サイドノック式は横向きの力を90度変換してノックを実現しているので、ロスが生じてしまう。.e-Tintは素材を工夫して滑りをよくしているようだ。そういう意味では構造的に無理な印象がある。実際にストロークは4mm必要。一方通常のノックタイプのGRAPH1000は2mmも押せば十分。なんと倍も押す必要がある。 けれど実際には違和感なく使えるので、完成度は高いと思う。

個人的な問題ではあるのだが、ペンを回転させながら書くために、サイドノックボタンが常時違う位置になってしまう。やっぱり回転に影響を受けないお尻ノックがいいわ。

1回のノックで出る芯の長さ

これは地味に重要な部分。シャープペンの価格差はこのあたりに出てくる。安物の多くは押した時、長めの1.2mmぐらい出て、押し終わると0.3mmぐらい戻ったりする。この戻りが多いものほど不安定。長く出し過ぎると当然折れやすいので、微調整が重要なのだが、安物はこの調整が厄介。
この.eTintは約0.6mmだった。どんな向きでノックしても、そこそこ安定していて、常に0.5〜0.7mmの範囲に収まっていた。GRAPH1000は常時0.45mmの出方なので、微調整しやすいが、0.6mmだとちょっと出過ぎの印象。でも100円シャープペンにしては優秀。ぺんてるの精度は他社を上回っている印象がある。

赤い羽根募金のときにもらったようだ。


グリップ

グリップとペン先の段差が無く、個人的には持ちやすい。グリップ部の直径は9.8mmと、それほど細くはないが、太すぎず許容範囲。太めのペンが使いやすいという人も多いが、鉛筆に慣れているので、細いほうが好み。グリップの沈み込みも少なく、しっかり持てる。形状が丸いのは回転させたときの角度が分からずマイナス。 グリップがくるくる回ってしまうのも気持ち悪い。安物ペンの多くはこういう仕様。 また、ありがちな素材でやや引っ付くようなところが気になる。個人的にはラバーグリップは苦手で、手離れの良いもっとさらっとした素材がいい。


チップ

ペン先のチップは、ノックすると1mm程度出るのだが、指を離すと下写真位置までチップが戻ってしまう。これは芯を3.5mmまで使うための構造で、チップが動くからと言って、収納するための機構ではない。携帯時には若干出っ張ったチップが、引っかかったり、ダメージを受けそうで、ちょっと気を使う。


ペン先のたわみ具合

芯を出して紙にぐっと押し当てた時どれぐらいたわむか? これは細かい作業をするとき重要になってくる。GRAPH1000などの製図用は剛性が高いので、たわみはほとんど感じられず、力がダイレクトにペン先まで伝わり、かなり微妙なことが出来るのだが、安物シャープペンはフニャフニャが普通。さらにひどいと芯とパイプのクラリアランスがありすぎてガタガタのものもある。
この.e-Tintもプラスチック製なので少したわむ。ただプラ製シャープにしてはマシな方かな。普通に使う分には問題ない。またペン先の形状は製図用のようにパイプがないので、視認性がやや悪い。


クリップ部と消しゴム

エンドのキャップとクリップが一体なので、簡単にクリップを外せる。使い方によってはデメリットだが、個人的にクリップの必要性はないので、取外して使うかも。当面オリジナルのまま使ってみるけど。
また消しゴムは直径が7mmと大きい。シャープペンに付いてる消しゴムは小さすぎて使い勝手が悪いのだが、これぐらいの大きさだったら実用になるかも。


ペン先

チップ部はプラスチックだが、精密に作られている。写真ではわかりにくいが、チップ部にシリコンリングが付けられている。おそらくガタつき防止かな?

チップを取り外すと、プラスチック製チャックとチャックリングが見える。チャックは2つに割れているタイプで、芯をホールドする力は弱そうだ。強く芯を押し付けると、やはり引っ込んでしまう。普通に使う分には問題ないけど。


短い芯を入れるときは注意

新品の芯を入れて使っていれば問題ないのだが、他で使った短い芯をこれに入れて使おうとすると、中で芯が折れたりするので注意。内部的には15mm未満の短い芯を長い芯で押しているのだが、その接触面がきれいに平面で押せていないと折れたりする。うっかり逆に入れたりすると滑って折れてしまう。 折れた後は、詰まって芯がうまく出てこなくなる。分解して折れた芯と、芯の粉を除去する必要がありちょっと手間。昔のシャープペンは芯が詰まったときに使うピンが消しゴムの裏にあったのだけど、最近は見かけないなぁ。 ということで変な使い方する場合は芯の断面に気を使う必要がある。

またチップで芯をがっちり固定しているわけではないので、5mm以下の短い芯はクルクル回りやすく、安定して書けない状態になってしまう。メーカーの言う3.5mmまでは個人的には使いたくない。まぁ大体6mm前後まで使っておしまいという感じ。

しばらく使ってみた印象としては微妙だが悪くない

普通に使えるが微妙。どういうわけか、同じ芯で書いていてもGRAPH1000とはまるで違う書き心地になる。書いたときの音も気持ちよくなく、ややカサカサというかキュッキュする。芯が悪いかと思ってしまうぐらい。 はじめ15mm以下の短い芯を使っていたから仕方ないと思っていたのだが、芯が長くても同じ傾向だった。素材やクリアランス、精度などから、こういう結果が出てしまったのだろう。 ぺんてるは他社に比べ精度がよく安心感があるのだが、このペンのように中国製になると微妙な気がしている。もう一本中国製ぺんてるシャープペンがあるのだが、組み立ての甘さなのか、成型精度が悪いのか分からないが、かなり微妙だった。 それでも他社のガタガタの安物シャープペンに比べれば実用的で、外出先でガンガン使う分には何の問題もない。

15mm以下の芯専用シャープとして活用 150331

1年近く使ってみたが、結局のところ、他のシャープで使えなくなった短かい芯を、これに入れて使い切るという用途になっている。基本性能はビクーニャ シャープペンにも遠く及ばないようだ。